Q: 今までの医療従事者としての歩みとキャリアについて、またなぜ新規開業されたか教えてください。
母校である防衛医大や自衛隊中央病院で初期研修を行い、耳鼻咽喉科に入局しました。3年目、4年目は自衛隊医官として札幌の部隊に配属され、部外研修として耳鼻咽喉科麻生病院を選択し、聴覚検査や平衡機能検査の実務研修や手術研修、外来研修など幅広く耳鼻咽喉科全般の研修をさせていただきました。
5年目、6年目は母校で耳鼻咽喉科専門研修をさせていただきましたが、この時の上司に「幼若ラット蝸牛の器官培養」を利用した研究を教わり、「耳領域」に興味を持つことになりました。自然と母校の 「難聴外来・補聴器外来」 に顔を出すようになり、聴覚検査の奥の深さを知りました。8年目からは大学院に入学しましたが、私はたまたま耳鼻咽喉科ではなく解剖学の教室に所属しました。耳鼻咽喉科でも外来や手術、検査を担当しながらも、解剖学でラットを用いた耳鳴の研究に打ち込み、学位も耳鳴りで取得しました。
開業する直前は宮古島で3年間勤務する機会がありました。宮古島は、難聴者や補聴器装用者に対するケアが十分とは言えないエリアでしたので、関係する琉球大学や宮崎大学、地元の補聴器専門店などのバックアップの元、離島で初めての難聴補聴器外来を立ち上げさせていただきました。大学院の間に、 新たに耳鼻咽喉科内での直接の上司となった先生からは、患者満足度を意識した補聴器外来について教わりました。今まで思っていた補聴器外来は、医師による診察後は補聴器調整など「業者に丸投げ」という印象でしたが、全く違いました。同じように自分のやりたい補聴器外来を実現したいと思いましたが、組織に属していながらやりたいことをやるというのは難しいと判断し、開業を決断しました。