ダイアテックカンパニーはこの度、タブレット型でタッチパネル方式の自動ABRによる新生児聴覚スクリーニング検査装置「イージースクリーン(easyScreen)」を2020年7月21日(火)に発売いたします。イージースクリーンは、電極とヘッドホン一体型の「ベラフォン(BERAphone®)」を使用すると、使い捨て電極が不要のため、電極の粘着部分の付け外しによる痛みを赤ちゃんに与えることなく、赤ちゃんにも環境にも優しい検査が可能で、検査にかかる消耗品コストを大幅に削減できます。
先天性難聴は、1,000の出生数に対して1~2人の割合で生まれると言われています。また、他の先天性疾患に比べても発生頻度が高い特徴があります。欧米では検査の実施を義務づけて法制化している国もありますが、日本国内における新生児聴覚スクリーニングの実施は87.6%でまだ充分ではありません。※1、※2 難聴を早期発見できると補聴器や人工内耳による早期介入、また早期に聞く力、話す力を身に着けるための療育を開始することによりコミュニケーション能力を高めることができます。
イージースクリーンは小型で軽量のため、持ち運びにも適しています。また、数回の操作だけで検査が開始でき、検査結果は「パス(合格)」の場合は緑色、「リファー(要再検査)」の場合は黄色で表示されるため検査結果が一目で分かります。タッチパネル方式で操作ができる本体画面は医療用手袋を装着したままでも操作が可能です。また、検査結果の印刷はワイヤレス接続のラベルプリンターで実行できるため、検査完了後すぐに母子手帳などに貼付することも可能です。
イージースクリーンの主な特長
1. 高い操作性
検査耳、電極抵抗値および検査状況のフィードバックがLEDライトで表示されるため一目で状況を把握することができます。
ベラフォン本体には開始ボタンが付いているため、ボタンを押すと検査を始めることができます。
2. CE-Chirp刺激音の搭載
聴性誘発反応の波形で大きい振幅を発生させるためには、神経発火の同期が重要です。従来のクリック音を用いると、蝸牛の周波数域が時間差で刺激される蝸牛遅延(cochlear traveling wave delay)の現象があるため、大きい振幅を誘発することが困難となります。※3
蝸牛遅延を補償したCE-Chirp刺激音により、より大きな反応振幅を得られることによって、閾値付近の反応をより迅速かつ簡単に検出することができます。
3. 選択肢が豊富で自由に取り換えられるトランスデューサー
自動ABR検査では電極とヘッドホン一体型のベラフォン(BERAphone®)もしくはイヤカップまたはイヤチップを使用したトランスデューサーをご使用いただけます。
耳音響放射(OAE)検査ではプローブもしくは、イヤチップを使用したトランスデューサーを選択できます。
※イージースクリーンの詳細についてはこちらをご確認ください。
新生児聴覚スクリーニングとは
新生児聴覚スクリーニングは新生児が受けられる簡易の聴覚検査であり、主に2種類の検査があります。ひとつは客観的に内耳機能を評価する耳音響放射(OAE)であり、もうひとつは客観的に聴神経機能を評価する自動聴性脳幹反応(自動ABR)です。厚生労働省は聴神経難聴スペクトラムでは、内耳機能は正常又は正常に近いため耳音響放射ではパス(合格)となるものの、聴神経機能は異常であるため自動ABRではリファー(要再検査)となることから初回検査及び確認検査は自動ABRで実施することを推奨しています。※4
新生児聴覚スクリーニングの詳細にちいてはこちらをご確認ください。
※1:新生児聴覚スクリーニングマニュアル、一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 福祉医療・乳幼児委員会、平成28年8月発行
※2:第3回 難聴児の早期支援に向けた保険・医療・福祉・教育の連携プロジェクト会合(厚生労働省・文部科学省)、2019年5月30日発行
※3:Cebulla, M-, Sturzebecher, E., Elbering, C., Muller, J. (2007). New clicklike stimuli for hearing testing. J Am Acad Audiol, 18, 725 738.
Dau, T., Wegner, O., Mellert, V., & Kollmeier B. (2000). Auditory brainstem responses with optimized chirp signals compensating basilar-membrane dispersion. J
Acoust Soc Am, 107(3), 1530 1540.
Elberling, C., Don, M., Cebulla, M., & Sturzebecher, E. (2007). Auditory steady-state responses to chirp stimuli based on cochlear traveling wave delay. J Acoust Soc Am,
122(5), 2772 2785.
※4:雇児母発 0329 第 2 号、厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課、平成 28 年 3 月 29 日
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